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秋の音

2010/08/27

「暑いね。」「今年の暑さは異常だよ!」「今日も暑かったですね。」「どこまでこの
暑さは続くのでしょうね。」近頃のあいさつです。
これだけ暑い日が続くと、一層秋の到来が待ち遠しい。

秋来(き)ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる
藤原 敏行 古今集巻4秋上
とせめて秋の歌を載せてみました。

平安時代の人々は風景に敏感であり、さらに耳もいいことであったことが分かりますね。
どんな音に秋を聞いたのでしょうか。 葉の一枚が落ちる音っだたのでしょうか。
それとも月見草の開花の音だったのでしょうか。

音といえば博多帯屋としては、やはり帯を結う時の衣擦れの鳴き音(ね)が、まずは一番に
思い浮かびます。 博多帯は絹と絹が擦れ合ってキュッキュッと鳴き音を立てます。
実に独特な響きです。 帯を身につけてる折りに、帯が体の周りを動きます。体を回転させる
度にススー、キューキュッ、ススーと、それはそれはいい感じの音です。
そういえば子供たちが帯をおもちゃにして、帯を巻きつけたら、解いたりして、鳴き音で遊ぶ
ことさえありました。 鳴き音を耳にしながら帯を巻く時はいつも、着物を着れる女冥利さえ
感じます。 というのは少しオーバーでしょうか。

いよいよ着物が楽しい秋がすぐそこに来ている筈です。
沢山の衣擦れの鳴き音が、家々に響きますように。



写真は紋小袋帯「紹彩」の中の一本です。
帯両面に紅葉を置いています。
表は、深山を分けいり、突然目に飛び込んだきた、岩肌の紅葉がモチーフです。
博多織献上館にしむら 販売価格:126,000円(税込)

生絹

2010/08/20

生絹と書いて「せいけん」「きぎぬ」「すずし」と三様に読みます。 精練していない状態の
絹糸あるいは絹織物です。 ごわごわした、ちょっと固い感触です。仕立てあがりに張り
のある突っ張った着物になります。 「織屋にしむら」ではもっぱらこれを「すずし」と申してい
ます。ちなみに「織屋にしむら」では、すずしの着尺とすずしの帯の両方を織っています。

過日、100年位前にお召しになっていたであろう夏着物を見せていただきました。 さるお方から
寄贈されて、「博多織献上館にしむら」で大切に保管されている着物です。 それが下の写真です。
現在のすずしの肌触りより、さらに固めです。 小さな灰色の楕円形が規則正しく配置され、その
灰色の楕円形が、遠くから見ると横に縞を置いたように見えます。 手元で見ると地味に見え
ますが、遠くから見るとかなり大胆な感じを受けます。よく計算された意匠デザインと感銘を
受けました。明治の終わり頃、どのような社会通念や背景の中で、どのようにな暮らしの中で、
これをお召しになっていた女性の自己表現の一役を担っていたわけでして、そのあたりに想いを
巡らすと、たちまちその時代に突き当ってしまいました。

100年前(明治43年)の社会では、社会主義者との疑いで幸徳秋水が逮捕されました。 鎌倉・
七里ヶ浜で逗子開成中学のボート部の生徒が、風でボートが転覆し全員溺死しました。その
少年たちを悼み「真白き富士の嶺」の曲が作られました。 時々加藤登紀子さんが歌っている
のを耳にします。 そして夏目漱石は朝日新聞に「門」を連載しました。



明治後期製織の夏着物「すずし」

模様替え

2010/08/18

残暑お見舞い申し上げます。

今年の夏は記録的な暑さだと報じられています。 それでもお盆を過ぎた今の自然界は
ちゃんと秋の気配を運んできています。 空はどこまでも高く済んだ青色、シオカラトンボの
群生が舞い、夕方にはヒグラシが鳴きます。 

すぐそこに来ている季節の変わりに、博多織献上館にしむらの店内のディスプレイを秋モード
に変えました。 室内に長く尾を引く秋の陽の光を想定し、光で帯は着尺を傷めることのないように
配慮することは必須です。
それからお客様がご自分の好みの一品に出会えますようにと、スタッフであれやこれや激論
しながら棚やケースの位置を決めてゆきます。いつも課題になるのは室内の照明設備への
不満です。 照度と輝度が不足がちの店内です。 そこで小さなスタンドを配置し、柔らかな
光を演出しました。 

秋から冬の商品が展示された店内は、屋外は灼熱ですが、この店内だけは静かに秋が
来ているような空間になりました。 この秋、私が身につける帯を何にしようかしらと
密かに思いあぐねたりします。 それから、一人でも多くの方が着物を好きになっていただきたい
との思いが募る残暑の今日この頃です。 
とはいえスタッフは今だ夏着物で対応させていただいております。  暑いのでお許しください。



商品に陽が当たらないことを配慮し、外の景色を感じられる
処に大きなテーブルを置きました。

皆さまのお越しをお待ち申し上げています。


藪入り

2010/08/11

残暑お見舞い申し上げます。

当店は8月11日から16日まで、夏季休業を予定しています。
TVニュースによりますと高速道路使用料金の土日は「距離に関係なく一律1,000円」という影響
もあり、昨年より一週間早く、夏季休暇に入っている企業が多いとのことです。
皆さまは藪入りという言葉をご存知でしょうか。かつてお盆の頃、奉公人(雇われて働く方)が休暇
をいただいて親元へ戻る、いわば夏季休暇ですね。 その頃(いつからかは定かではありません
が)、草深い田舎から都市部に働きに来ていた方が多く、お盆の時期、親元へ休暇で帰省するこ
とを、草深い処に帰る、藪がある処、つまり「藪入り」ですね。

いま、スタッフの親元は草深い処でもなく、ましては田舎でもない方がほとんどです。 むしろ
筑紫野に在る当店の方がよほどに草深く田舎の香りがいたします。 博多織献上館にしむらの
傍らに居住する私の周りは、宝満山の頂を臨み、天拝山の丘陵がのどかに連なります。
夏季休暇で静まりかえったお店の傍らで蝉しぐれを聞きながら、来る秋に向かって
どのようにお客様をお迎えしようかと、思いを巡らすことにしましょう。

この夏のご来店をありがとうございます。




商売繁盛「博多織おもてなしトレー」
商売繁盛を祈願し、九州の心意気を終結させて製作しました。
お客様からお金やカードをお預かりする際、おつりをお渡しする際に、
このトレーをお使いください。ほのかなヒノキが薫ります。

製作関係
博多織献上帯地:織屋にしむら
木材        :日田産ヒノキ
梅型木工     :(有)徳永NC(大川家具工業組合)

博多織献上館にしむら販売価格:3,150円(税込)

夏は花火

2010/08/10

とても暑いです。連日気温がぐんぐん音をたてているかのように上昇してます。
この暑さ、福岡では8月1日に大濠大花火大会が開催されました。
主催者発表によると、なんと46万人余りが大濠公園の池の周りを取り巻き見学されたとのことです。
福岡市民人口総数が146万人余ですから、ざっと1/3の市民が集まったということでしょうか。

この日の街は日中から浴衣姿の方が多かったです。特に若い方は男女とも圧倒的に浴衣をお召しに
なっていました。浴衣を着慣れてないということがすぐに分かるのですが、実は着慣れていなくても
悪くないのです。常日頃、腰の下の下着をのぞかせるまでジーンズを下げて歩いている若者が、
アレっ、この方、同じあの男性だったのかしらと、目を見張るほどでした。
引きしまった、まっつぐの姿勢に浴衣が際立って爽やかな風情でした。
きっちり腰元を帯が支えていて、男の着物はやっぱり帯で決まるものだと、納得いたしました。
歩くたびに裾元に細い脚が覗く。胸元も少し開け気味(暑いですからね)。でも悪くないですね。
傍らの女性もやはり浴衣姿です。髪にオーナメントを沢山付けているのが今風。
話しながら時々笑顔で体を揺らし、大濠公園に向かって歩いて行かれました。。
日本の男女はチャーミングできれいだなぁと嬉しくなりました。
着物をもっと着ていただきたいな、そうすればもっと日本人は綺麗になり、
笑顔がいっぱいになるのではないかしらと、思った次第です。

やはり、仕事からくる身贔屓の発想でしょうか。



写真の帯びはいずれも二寸二分(8.5cm)の男帯です。
二寸二分帯は、気負うことなく、さりげなく着こなしたいいう気分の時に
身につけていただきたい帯です。

左が矢羽根を、右がひょうたんをあしらっています。
博多織献上館にしむら販売価格:29,400円(税込)(いずれも同じ価格です。)

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